漢方医学の考え方
漢方処方の選定をするために、西洋医学にはない漢方独自の診断方法があります。
2000年以上も前から使われてきた方法で、当時は現在のような血液検査や画像を使った検査はありませんでした。
そこで診断の方法として、体の機能を保つ五臓(肝・心・脾・肺・腎)の働きと、体をつくる気・血・水の状態を確認することで不調の原因を考えることができます。その他、顔色、舌の状態、声、話し方など総合的な判断を行います。これらは漢方独自のモノサシとなります。
そして症状とどう関係しているかを見極め、漢方処方が決まります。 病名がつかない不調、検査をしても異常が見つからない症状にも漢方薬が有効なことが多いのは、漢方独自の診断方法で対応ができるためです。 |
体の機能を保つ五臓
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関係する症状 |
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肝 |
目の症状、肝臓病、イライラ、下痢便秘、口の苦み、月経不順、シミ |
心 |
循環器系の症状、動悸、息切れ、不安感など精神的な症状、舌の症状、のぼせ |
脾 |
胃腸虚弱、疲れやすい、下痢、軟便、味覚異常、口内炎、唇と口角の荒れ |
肺 |
呼吸器系疾患、咳・痰、鼻や喉の症状、風邪を引きやすい、皮膚の症状、アレルギー |
腎 |
精力減退、不妊、腰痛、関節痛、耳鳴り、難聴、排尿異常、抜毛、腎臓病 |
体をつくる気・血・水
気・血・水 | ||
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体の構成成分 | 内容 | 関係する症状など |
気 | 生命エネルギー、メンタル | 免疫・体力低下、ストレスで起きやすい症状等 |
血 | 血液とその働き | 月経異常、貧血、痛み、しびれ等 |
水 | 血液以外の体液、組織を潤す働き | むくみ、鼻水、痰、関節痛、お肌や粘膜の乾燥等 |
子宝相談
当薬局で一番多いご相談です。西洋医学の不妊治療も成果を上げていますが、東洋医学では赤ちゃんにとって居心地の良いお母さんの体づくりを目指します。
妊娠しやすい体とは冷えもなく、胃腸も丈夫、28日前後の月経周期、生理痛がない、標準体重の維持、強いストレスがないことです。月経周期や体質に合わせて漢方薬をお作りします。ご夫婦お二人で服用されるケースも多いです。
※基礎体温表をつけている方はお持ち下さい。
※相談は要予約
月経不順、月経痛、PMS、更年期障害
生理不順、無月経、生理痛、月経過多、月経過少、月経前緊張症、不正性器出血、更年期障害など様々な婦人科系の疾患や症状があります。東洋医学では主に体の構成成分の血(けつ)の異常と考え、全身の状態に合わせて漢方薬をお作りいたします。
糖尿病
口腔不快や倦怠感など自覚症状のある場合や血糖値、ヘモグロビンA1cなどの検査値のみ高い場合などにより対応法が異なります。自覚症状がある場合は漢方薬を中心に、検査数値が高い場合は機能性食品、お茶等をご紹介致します。
がん
漢方薬と臨床データのある健康食品をその方に合わせてご紹介しております。薬局では検査などの客観的なデータがとれないため病院での治療をしながら服用されている方が多いです。
皮膚病
アトピー性皮膚炎、ニキビ、蕁麻疹、慢性湿疹、乾癬などの頑固な皮膚病に、体の中から働きかける漢方薬は有効です。患部の場所や症状が悪化または好転する季節、時間、皮膚の状態、体質を考慮して漢方の配合を決めております。
目の症状
東洋医学で目の症状は五臓の肝の不調と考えます。肝の栄養不足は目の疲れや視力低下にドライアイ、肝の熱は目の充血、異物感といった症状が現れます。西洋医学での治療と併用しながら、体の内側から働きかける漢方薬も注目されています。
痛み
頭痛、肩の痛み、腰痛、関節痛、坐骨神経痛、肋間神経痛、三叉神経痛、帯状疱疹後の痛みと様々な痛みがあります。鎮痛効果のある生薬を中心に、痛む場所、季節、気温、時間での症状変化等により使う漢方薬を選定致します。また痛みのケアに使用する生薬配合のクリームも好評です。
自律神経の乱れ
自律神経は、自分の意志と関係なく血管や内臓の働きを支配し、身体機能を保つ重要な神経です。不規則な生活や慢性的なストレスにより自律神経のバランスが崩れ、体調不良を起こすことがあります。検査で異常が見つからないことが多く、動悸、不眠、めまい、過敏性腸症候群なども関係する症状です。気の巡りを整える生薬を中心に、体質に合わせて処方を決めていきます。